言葉の架け橋 ♯3

内向型・HSP

生きていれば時に、つらいこと、苦しいことを経験することがあります。

なかなか立ち直れず、動けなくなるときもあるかもしれません。

そんな時、アニメや漫画の何気ない台詞や好きな歌の歌詞が勇気をくれることがあります。

あなたにもそういった経験はありませんか?

この「言葉の架け橋」ではそんな勇気や気づきを与えてくれる言葉を紹介していきます。

あなたが打ちのめされたとき、この場があなたの支えとなり、次の場所へ進むための架け橋となることを願っています。

                                              

「逃げるときはもの惜しみしない」
                      河合隼雄(こころの処方箋)

前回に「逃げる」ことについての言葉を紹介したので、今回もそれに似た言葉をご紹介します。

この言葉は河合隼雄さんの書かれた「こころの処方箋」という本に書かれている言葉です。

「こころの処方箋」にはこの言葉を含め、全部で55個の気づきを与えてくれる言葉が綴られています。オススメの一冊なのでぜひ読んでみてください。

今回ご紹介している「逃げるときはもの惜しみしない」という言葉では、その例として戦国時代に木下藤吉郎という人が殿軍の役を務めた話が語られています。

木下藤吉郎が殿軍を任されたとき、当初の作戦では、木下軍のみが城に籠って戦う間に残りの友軍が逃げる予定でした。

一方の敵軍はそんな城はすぐに落として、その勢いのまま追撃しようと考えていました。

しかし、夜になると木下藤吉郎は翌日の戦いに備えているように見せかけて、兵糧や旗などをすべて棄て軍を率いて逃げ去り、本隊に追い付いたのです。

敵軍は翌朝になって城があまりにも静かなので、何か作戦でもあるのかと慎重に攻めましたが、気づいたときには逃げられており、すでに手遅れでした。

結局、木下軍は一人も兵を失うこともなく殿軍としての役を果たしたのです。

もし、木下藤吉郎が殿軍を務めるからには華々しく一戦交えようと考えていたら、友軍を逃がすことはできても木下軍は全滅していたかもしれません。

まったくもの惜しみせず、徹底的に逃げ抜いたことで結果として無傷で次の戦に備えることができたのです。

現代社会では、戦国時代のような戦はありませんが、この考え方は応用できるといえるでしょう。

例えば、商取引の時です。

取引の際、「ここは逃げる」と決めたら、うろうろしないことが肝心です。

さっさと手を引けばいいものを、ひょっとして儲かるかもしれないと思って逃げる機会を失ってしまうと大損害に繋がってしまいます。

また、この他にも「逃げている」けれどその自覚がない人についても注意が必要です。

例えば、会社で働く場合、自分の所属する部署や自分の役職を維持するためには、当然それを維持するための仕事をやらなければいけません。

言い換えるなら、会社という組織で自分に与えられた役割をこなさなければいけません。例えそれがどんなに気が進まないものであってもです。

もし、このやらなければならない仕事から逃げる場合、逃げている自覚があればもの惜しみはしないでしょう。

しかし、自覚がない人は逃げているにも関わらず、その部署や役職によって得られる利益(例えば高い給料や対外的な評価)を得ようとしてしまいます。

同僚や上司からしてみれば、そんなことは許せるものではなく、結果としてたくさんの人に嫌われることになってしまうでしょう。

もし、自分のやりたいことが他にある場合ややむを得ない事情がある場合は、このような仕事から逃げることも必要になるでしょう。

しかし、その時はそれ相応の利益を棄てる必要があります。

絶対にもの惜しみをしてはいけないのです。

中途半端にうろうろしていると、自分にも他人にも不利益が生じます。

「逃げる」と決めたのであれば、徹底して逃げる。

それには相応の覚悟が必要になるのです。

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